ぶいぶいているろぐ

バーチャルな話題を主に記録していく、バーチャルはてなブロガーのブログです。(※アバターは『カスタムオーダーメイド3D2』によるものです)

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カスタムキャストがあぶり出す、VTuber界隈の「周縁」

 こんにちは。浅田カズラです。

 なんと、当ブログもついに100記事目に到達しました。よく続いてるものよ。なので、ちょっと大型なコラムとして、いま流行りのカスタムキャストについて書き殴りたいと思います。エンパイアクラブオーナーですからね!

 もっとも、このツールのこの機能がすげえ!的なお話は各所でされていると思うので、今さら語るまでもないでしょう。僕が着目したいのは「なぜこのツールがこんなに流行っているのか」という点。そして、「このツールがバーチャルな界隈になにをもたらすのか」という点です。

 VTuberにならなくてもバーチャルになっていい」――VTuberブームで少し隠れがちになっている、この衝動を満たすツールとして、カスタムキャストに注目したい。そういうお話です。

 

VTuberになりたい」という欲求の「周縁」

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 まず、「バーチャルな界隈に関わりたい」という欲求は、大きく3つに分けられると考えています。

 それはアバターを作りたい」「誰かと交流したい」「なにかを発信したい」の3つで、言い方を変えると「エディット」「コミュニケーション」「クリエイション*1になるでしょうか。

 

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 さらに、この3つの欲求をより詳細化した欲求が存在し、これらが重ね合わさる場合がある。

 その重ね合わさった欲求が、「VTuberになりたい」という欲求の正体(のひとつ)ではないかな、と僕は考えています。

 

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 しかし、全員が全員、この重ね合わせの領域にいるとは限りません。「外」にいる人はどうなるのか?

 

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 個人的な憶測ですが、「アバターをかぶって他者とコミュニケーションをとりたい」という欲求はあるが、配信欲求はない人はVRChatへ行くように思います。というより、この領域が最初にあり、そこから派生的にVTuberとなった方もいらっしゃるはずです。

 また、VTuber最盛期とはいえ、なにも生身のYouTuberになってはいけない理由はありませんし、また「顔は出さないがアバターはかぶらない」という配信欲求もあるでしょう。むしろ世間的には、まだまだ「(従来の)YouTuber」が一般的概念のようにも感じられます*2

 

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 しかし、まだまだ「外側」に位置する箇所はあります。巷ではこんな声を聞きます。「配信する気も、自分がかぶる気もないが、美少女は作りたい」という声を。

 また、欲求そのものは重ね合わせの領域にあっても、「PCがよわよわ」「お金がたりない」「配信できる居住環境じゃあない」といった事情から、「なりたくてもなれない」という人もいるはずです。

 

 いま現在、VTuberはメインストリームといっても過言ではありません。様々な業界もVTuberを主軸として動いています。その流れが先鋭化することで、「中心から外れたところ」にいる人が置き去りにされるのではないか。VTuberを含めたバーチャルな界隈において、これは無視できない懸念材料になるはずです。

 殊に、「全人類総バーチャル化」という未来を目指すのであれば、なおさら。

 

カスタムキャストのハードルの低さ

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 こうした状況にあって、カスタムキャストは非常に重要な位置に打ち込まれました。

 

スマホだけで完結する手軽さ

 ひとつは、スマホで動かせる」という点。上述した「欲求は重ね合わせの領域だが、機材がない」という層を拾い上げる、重要な要素です。

 この「機材がない」ですが、資金面の問題で用意できないケースはもちろん、「スマホしか持たない」ケースや、「わざわざ環境を用意するのが面倒」というケースも含んでいることは見逃せないと思います。

 中高生は自前のPCを持つとは限りませんし、大学生も今現在「スマホは操作できるがPCはわからん」という方もいると聞きます。そして、潤沢なお給料をもらえる人であっても、VR Readyはおろかゲーミング性能すら満たしていないマシンでも困らないならば、用意する理由はない、という結論に至る人も多いでしょう。*3

 Vカツは今現在最高峰のツールですが、上記のような人たちにリーチすることができませんでした。しかしカスタムキャストは、最新のiPhoneAndroidが手元にあれば動く。スマホは今や生活必需品です。誰もが持つアイテム内で完結することは、裾野を広げる上で重要な役割を果たしています。

 

「俺は美少女を作りたい"だけ"なんだ」

 そしてもうひとつは、「エディットだけをしたい」という人に刺さったという点。上掲の図において、まさに「周縁」に位置しているであろう人へのリーチです。

 2018年において、「アバターを作る」≒「Vの者としてデビューする」という構図が生まれつつありますが、そもそもデビューとかそういうの抜きにしてアバターを作りたい人っているはずなんです。それは過去に流行したキャラクターエディット文化が証明しています。

neutralx0.net

 「化け猫アイコンメーカー」「ユメウサギの着せ替えキャラメイク」など、定期的にその手のツールが流行していることは、インターネットを長く見ている方ならご存知でしょう。

 これらのツールで作ったアバターは、動画で使用するわけではなく、SNSのアイコンに採用したり、あるいはただSNS上で共有するだけ、という用途が多かったことは重要です。とにかくエディットしたい欲求が人間にあり、それは画期的なツールの提供によっていとも簡単に爆発するのです。

 カスタムキャストには配信機能も備わっていますが、「配信をしなくともよい」という選択肢も存在しています。直感的でハイクオリティなエディット機能は、「配信する気も、自分がかぶる気もないが、美少女は作りたい」という声に見事にリーチしています。

 

アバターが真に身近なものになる日

 2018年は、3Dモデル/Live2Dモデルのノウハウが急速に積まれ、そして広く広まった年であるように思います。言わずもがな、VTuberという需要による加速があったことが最大の要因です。

 しかしながら、これまでの潮流では「VTuberになるつもりはない」という人には、上記のようなアバターが行き渡らない可能性が高い。

 そして、こうして作られたアバターは用途がある程度限定的*4で、いわば「個人所有のモビルスーツ」ぐらいの立ち位置なんだと思います。そして、モビルスーツを得たなら出撃しないといけない気持ちに駆られる。気軽ではないかもですよね。

 カスタムキャストが面白いのは、従来のVTuber需要を満たしつつも、「そうではない」層へも強く届いているところにあります。「周縁のあぶりだし」が、はからずも行われたのです。

 もちろん、それだけでは過去のエディットツールと大差ないのですが、カスタムキャストは将来的にVRM出力の予定があることが一線を画しています。つまり、スマホでほほーいと作ったアバターが、VRoid Hubを経由して、まるでSNSのアイコンのように、様々な場所で使える「肉体」として使える可能性があるということ。そう、「周縁」にいた人も、バーチャルの世界へ踏み出せるかもしれないのです。

www.moguravr.com

 無論、カスタムキャスト製のアバターがそのまま使えるかどうかは、まだわかりません。しかし、バーチャルへの入口がこんなにも手軽な場所に生まれたとしたら、万人がバーチャルになる世界はグッと近くなると、僕はひそかに期待している次第です。

 

 アバターが、そしてバーチャルが、まるでスマホのように普遍化するその日に備え、今から自分だけの美少女を作り上げておくと、楽しい未来にふれられるかもしれませんね。

*1:意見発信なども含まれるはずなのでこの表現は微妙なのですが、あえて。

*2:YouTuberのみならず、TikTokや17 Liveのようなプラットフォームの存在こそ、その証左かなと。

*3:また、仮にスペックを満たしていたとしても、Steamに登録してインストールしてさらにソフトを買って……といった環境構築すら面倒がる可能性も考慮が必要でしょう。

*4:VRM形式であればかなり幅広い応用こそ効きますが。