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【書評】シンギュラリティは時空を超えて 『マシーナリーとも子グッズとシンギュラリティ 黎明編』

 浅田カズラです。今日はちょっとした書評をしたためます。

 

 いまやVTuberも本を出版する時代。そのプラットフォーム概念として最も人気があるのが「マッハ新書」である。「電子書籍を12時間以内に執筆し、自分で値段をつけて売りさばく個人出版形態」というコンセプトは、BOOTHなどの販路整備によって加速的に広がった(そして最近は落ち着き気味である)。

 そんな電子出版のニューウェーブに、あのVTuberが参戦した。シンギュラリティの申し子、マシーナリーとも子である。

 

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 『マシーナリーとも子グッズとシンギュラリティ 黎明編』(著:マシーナリーとも子票田委員会)は、古今東西のあらゆるマシーナリーとも子グッズ網羅したカタログであり、同時のその歴史を紐解く文化研究書である。

 驚くべきことに、本書は少なくとも2045年以降に出版されたものである。すなわち、マッハ新書は時空をも超えたプラットフォームであることが、この一冊によって証明されている。

 本書は後の時代においては考古学の領域において活用されているはずだが、2018年を生きる我々にとっては、考"未来"学ともいえる新たな学術体系を切り開くマスターピースとなるだろう。

 

 さて、本書の内容に移ろう。本書はマシーナリーとも子グッズを完璧に網羅しており、これ一冊であなたはマシーナリーとも子が手がけた商業展開の全てを知ることができる。その起源は彼女の姿を象ったアクリル板フィギュア(¥1,400)であり、彼女の姿がプリントされたTシャツ(¥3,180)は2018年7月の東京にて着用事例が存在したことなどを、読者は手に取るように理解することができるだろう。

 また、各グッズごとに1ページの解説が併載されている。1ページの内に必要な情報が小気味よくまとめられており、本書の読書体験はさながら博物館見学である。

 彼女と親交の深かったハンバーガー氏との馴れ初めや、謎多き存在・ジャストディフェンス澤村の誕生秘話、国際自然保護連合(IUCN)によって先日レッドリスト入りが決定したトルーテンイルガーシカに関する情報も多く記されており、後代のVTuber研究においては、散逸しがちな人物関係を知る重要な手がかりとなるだろう。

 

 なお、本書は未来にて成立したものである以上、いくつかのグッズに記された「あまり売れなかった」といった情報は、おそらく2045年以後に確定した未来なのだと推測される。グッズの多くは散逸・喪失し、世界各地のコレクターやバチカンが所蔵する「聖遺物」となっていることも読み取れる。

 それがマシーナリーとも子の本意だったかと言えば――おそらく不本意だっただろう。当時の彼女は人類抹殺を志し、なにより資金繰りに苦慮していた。とも子グッズが全人類に行き渡り、普遍化されること。それが彼女の望みだったに違いない。

 ゆえに、本書を手にした者は幸運といえよう。マシーナリーとも子グッズは、現在彼女が経営する「とも子屋」にて購入可能だ。これは何を意味するのか? ためしになにか一つグッズを買ってみればわかるだろう――「自分の手で、未来を変えている」と。

 本書は歴史を紐解くだけではなく、歴史を「編み込む」ための鍵でもあるのだ。

 

 VR、そしてVTuberの登場によって、人類はいままさに、新たなステージへと登る準備を開始している。

 その先に待ち受けているものこそシンギュラリティである。本書は、シンギュラリティの申し子によって、時空を超えてBOOTHより出版された、新時代への福音である。